シンパシーカードという習慣
「親しい人が大切な人を失った」という知らせを聞いたらどうすればよいのでしょうか。
新しい習慣として「シンパシーカードを送る」という選択肢をご提案します。
シンパシー(Sympathy)とは、共感や同情、思いやりを示す言葉。 欧米には「訃報を知ったらシンパシーカードを送る」という習慣があり、お悔みを伝えるための様々なカードが売られています。 デザインも文言も様々で、家族親族だけでなく愛するペットを亡くした方へのカードも用意されています。 日本ではまだなじみのない習慣ですが、都内の文房具売り場などで徐々に見かけるようになりました。 「香典を送るのは仰々しい」と感じたら、「シンパシーカード」を送ってみてはいかがでしょうか? 年賀状の欠礼を知らせる「喪中欠礼状」への返信としてもお勧めです。
喪中お見舞いなど、お悔やみのシーンでは「失礼があってはいけない」と礼儀に囚われがちですが、
文例にこだわらず「遺族の心境を思いやる」言葉を添えてみてください。ご遺族の心に届くおたよりになることでしょう。
喪中見舞の書き方に悩んだ時の参考になれば幸いです。
どう書けばいいの?
特に決まりはありませんが、カードを受け取る遺族としての立場から
「故人の個性を尊重する」と「ご遺族のケアを意識する」ことを提案致します。
1.ご挨拶文
例:○○様のご冥福を心よりお祈りいたします。
2.生前の故人との思い出など
例:○○様は職場ではいつも朗らかで、廊下で会った際に声をかけていただくと嬉しい気持ちになりました。
3.つなぎ文
例:そんな○○様を亡くされ、ご家族はさぞかしご心痛の日々かと思います。
4.ご遺族を気遣う言葉
例:何卒お身体を大切にお過ごしください。
故人の名前を記入する
遺族にとってかけがえのない大切な人が、死別後は「故人」とひとくくりにされ名前を記されることもなくなるのは寂しいものです。ぜひ亡くなった方のお名前を記してあげてください。
生前の思い出やエピソードを記す
故人のありし日の様子や出来事を知ることはうれしいものです。
故人のありし日の姿や思い出を記し、ご遺族に「死別後も思い出はなくならない」ことを伝えてみてください。
自分の感情を押し付けない
自分が残念に思う気持ちを訴えるお手紙を目にしますが、遺族はそれ以上に悲しんでいます。「あの時自分がああしていれば」と後悔の念にかられる遺族も少なくありません。遺族を追い詰めることのないよう、一呼吸おいて文面を考えてみてください。
力になりたい気持ちを伝える
死別直後の遺族はそっとしておくのが一番。訪問したり電話をするより、手紙やはがきで「あなたのことを想っている」「何か力になりたいと思っている」気持ちを伝え、連絡を待つのがスマートではないでしょうか。
こんな言葉に気を付けて
遺族の心のケア「グリーフケア」の観点から、望ましくないとされている言葉をご紹介します。参考にしていただければと思います。
励ましや激励:「頑張って」「早く元気になって」
「こんなに辛く悲しいのにこれ以上どう頑張ればよいのか」と途方に暮れてしまいます。
悲しみの比較:「まだ良い方」「長患いをしなくてよかった」
かけがえのない人を失ったのです。他者との比較は慰めになりません。
気休めの同意:「お気持ちはよく分かります」
全く同じ経験をしている人はいません。複雑な感情に囚われるのが遺族です。
回復の早さを称賛:「元気そうで安心した」
元気そうに振る舞っていても内心は分からないものです。
性急に前進することを推奨:「忘れるのが一番だ」「早く次のお子さんを」
十分悲しみにひたる時間が、遺族には必要です。
一般社団法人日本グリーフケアギフト協会 代表理事 加藤美千代
一人息子を小児がんで亡くした経験から「遺族の心のケアであるグリーフケアを広め、遺族の苦しみを軽減する」活動を開始。
2016年に一般社団法人を設立し、金融機関などへ「遺族の心理状態を解説し接客に役立てていただくグリーフケア研修」を提供。
「故人の個性に合わせて選ぶ喪のギフト」を提案販売するネットショップ「グリーフケアギフトの碧香堂」の運営も行う。